赤系の色は国旗に最も多く用いられる色として知られており、その魅力には幾つかの理由が考えられます。
例えば、赤色は「暖色」としても知られ、見る者に暖かみを与える効果があります。
この色は交感神経を刺激し、人を活動的にさせるという性質を持っているため、国旗に用いることで国民を鼓舞し、士気を向上させる手段として選ばれることがあるのです。
また、赤色は非常に目立つ色であり、小さな子供から性別を問わず多くの人々に人気があります。
そんな人々を魅了する赤色ですが、その人気の高さゆえに、絵具などが手早く無くなってしまうこともしばしばあります。
こうした背景から、本記事では赤色の作り方について詳しく解説していきます。
赤色の生成方法
初めに残念ながらお伝えしなければならないのですが、結論から明かしますと、赤色は他の色の絵の具を組み合わせて作ることは不可能です。
赤をベースにして様々な色を生み出すことはできますが、赤そのものを他の色から作り出すことはできないのです。
赤色を作ることができない理由
赤色を他の絵の具を混ぜ合わせて作ることはなぜ難しいのでしょうか。
色には三原色と呼ばれるマゼンタ、シアン、イエローがあり、これらは全ての色の土台となっています。
中でも、マゼンタは赤色に該当します。
三原色は色の創造の基盤であり、ほかの色を組み合わせてこれらを作ることは不可能なのです。
正確には、マゼンタと赤色は異なるとされていますが、類似している赤色を他の色を混合して作ることも困難です。
絵の具においては、「減法混色」という現象が起こり、混ぜれば混ぜるほど色が濁って暗くなってしまいます。
赤色はその明るさと鮮やかさが特徴ですが、それ故に、他の色を使って赤色を生成しようとすると暗く濁ってしまい、絵の具の赤のような明るさを再現するのが難しくなるのです。
しかしながら、一部の人はどうしても別の色で赤を再現したいと思いますので、似た色合いの赤色を作る方法についてお伝えしましょう。
濃厚なピンクと黄色の組み合わせ
濃いピンク色に黄色を加えることで、赤色に近付けることが可能です。
濃いピンク色を3に対して黄色を1の割合で混ぜ合わせると、結果として上掲の画像のような色合いとなります。
しかし、絵の具で見られる純粋な赤色とは、わずかに差異が見受けられることでしょう。
赤紫と黄色の配合
赤紫に黄色を加えることは、後述するマゼンタと黄色の混合と類似しています。
マゼンタ自体はセットに含まれていないことが多いのですが、赤紫であれば色数が豊富なセットには見られることがあります。
ただし、厳密にはマゼンタではないため、黄色と組み合わせると、赤みがかった色調になるでしょう。
例えば、赤紫と黄色を3:1の比率で混ぜてください。
しかし、赤単色のような鮮明さを達成するには、先述した通り、挑戦的な作業となることでしょう。
マゼンタとイエローによる赤色の作成
一般的に赤色は、色彩の基本とされるマゼンタとイエローを組み合わせることで生成されます。
ご家庭やオフィスに存在するプリンターのインクカートリッジにも、赤ではなくマゼンタが含まれているのをご覧になったことがあるでしょう。
マゼンタは赤とは異なり、わずかに紫がかった色合いを持ちます。
このマゼンタにイエローを混ぜることにより、求める赤色を創り出すことが可能です。
ただし、これらの色材は大規模な美術用品店でなければ手に入りにくいことがあります。
その一方で、赤の単色絵の具は大型スーパーやナショナルチェーン店でも取り扱っていることが多いです。
また、100円ショップでも単色の絵の具を手に入れることができるようになっており、容易に購入することができる状況です。
従って、もし赤色の絵の具が不足しているときは、混色を試みるよりも販売店へ購入に行った方が手っ取り早く確実です。
様々な赤色の調合方法(赤色を基にした場合)
赤は色彩の基本ともいうべき存在で、それがあれば多様な色合いを創出することが可能です。
そこでこれから、赤をベースにして異なるバリエーションの赤系色合いを調合する方法についてご紹介します。
朱色の調合方法
朱色は、日本の伝統に深く根ざした色で、神社の鳥居や様々な和風のアイテムに用いられています。
この色は、単なる赤とは異なり、その鮮やかさが特徴です。
また、私たちがよく目にする印鑑の朱肉にも用いられており、日本人に親しまれている色と言えるでしょう。
この朱色は、基本的な赤色に少量の黄色を加え合わせることで生成することが可能です。
しかしながら、黄色を加える際には注意が要されます。過剰に黄色を混ぜてしまうと、朱色ではなくオレンジ色が生まれてしまうためです。
ワインレッドの調色方法
ワインレッドとは、豊かで熟した赤ワインを彷彿とさせる深みのある色合いを指します。
一般的な赤色よりも陰影が強く、濃厚です。
色合いを整えるには、明るさを控えめにし、落ち着いた色調へと調整します。
この色を作る際には、基調となる赤色にわずかに茶色と青色を加えて混ぜ合わせることで実現できます。
深みを出すためにも、黒色を加えてしまうと色彩の鮮やかさが著しく損なわれるため、黒色の使用は控えましょう。
参考の配合比率としては、赤色に対して茶色を1/3、青色を1/3程度加えることが目安です。
例えば、赤2に対して茶色1、青色1の割合で混ぜ合わせた例が上述の写真となります。
レンガ色の調合方法
レンガ色を生成するためには、初めに赤色と橙色を組み合わせて朱色に似た赤を基調として作ります。
その赤に黒色を徐々に加えていくことで、茶色がかった色調に調整していきます。
これにより、レンガを思わせる赤みがかった茶色が出来上がります。
この色は、レンガの表現以外にも、パンの焼き色を表現する等の描写にも最適です。
最後に
赤は色の三原色の一つであり、特定のチューブの赤そのものを再現するのは困難です。
しかし、赤のバリエーション、例えばオレンジ色をお持ちの場合、色相対比を利用して赤く見せる手法が存在します。
例えば、オレンジ色の周囲に黄色を配置した場合、黄色が補色である青紫に視覚を誘導し、オレンジが赤に近い色として知覚されやすくなります。
すなわち、オレンジ単独ではなく、黄色を近接させることにより、オレンジ色が赤に近い色として感じられるというわけです。
同様に、緑色の敷物の上にマグロの赤身を置くと、赤身の色が際立つのと似た原理でもあります。
混色以外の手法でも、赤に見せることは十分に可能ですので、色々と試しながら独自の表現法を見つけてみてください。