朱色を思い浮かべると、どのような印象を持ちますか?
赤、オレンジ、ピンクといったカラーバリエーションは日常的に目にすることが多いですが、朱色になると頻繁に使用する機会は少ないかもしれません。
朱色といえば、神社の鳥居を思い浮かべ、神秘的な雰囲気を感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実は夕焼けや紅葉、木の実を表現する際など、朱色が役立つシチュエーションは意外と多く存在します。
ただし、学校などで定番の絵の具セットには含まれていないこともしばしばです。
そこで今回は、あると非常に便利な朱色の作り方をご紹介させていただきます。
朱色の調合方法
朱色を作成する際の基本となる方法は、主に以下の2通りが存在します。
- 赤色とオレンジ色を混ぜる方法
- 赤色と黄色を混ぜる方法
それぞれの色を組み合わせることで、朱色を創り出すことができます。
以下、各調合方法について詳しくご説明いたします。
赤色とオレンジ色の組み合わせによる朱色の作り方
朱色は、赤色にオレンジ色を加えることで作り出すことができます。
本来、朱色とは少し黄色が混ざった赤と言えます。
オレンジ色自体も、赤に黄色を加えることで生まれる色ですが、オレンジ色は黄色が強めです。
そのため、赤寄りの朱色に調整するためには、赤を混ぜていく必要があります。
こちらに示した写真は、赤1に対してオレンジ1で混合したものです。
徐々に朱肉や書道教室で使用される朱色のように変わってきたでしょうか。
適切な色に調整できたら、実際に塗る箇所に筆を近づけて試しに見てみましょう。
なぜ塗り始める前に筆を近づけて色を確認するかというと、パレットで作った色と実際に紙上に塗った際の色が異なる可能性があるためです。
これは「色相対比」と呼ばれる現象で、周囲の色に影響されて、色の見え方が変わることが理由です。
朱色の作り方
絵具でオレンジ色がない場合でも、赤と黄色を混ぜ合わせることで朱色を作ることが可能です。
作成過程では、黄色に徐々に赤を加えていきましょう。
掲載された写真には、赤色3に対する黄色1の割合で混ぜた朱色が示されています。
それぞれが鮮やかな色ですが、やや強い色味をもつ赤を黄色に合わせることで、色の調整がしやすくなります。
朱色の調合はオレンジに赤を加える方法が手軽ですが、上記の方法で赤に黄色を混ぜることによっても、朱色を創り出すことができるのです。
朱色の意味とは
朱色は、赤色に黄色が混ざったような、明るい赤色を指します。
Wikipediaによると、「やや黄を帯びた赤色」と記載されています。
また、日本工業規格(JIS)の慣用色名においても、「あざやかな黄みの赤」(略号 vv-YR)と定義されています。
昔から神社の鳥居や印鑑の朱肉といった、多くの人々の生活に密接に関わるアイテムで用いられてきた朱色は、私たち日本人にとって親しみ深い色です。
しかし、この色が広く使われている背景には、特別な意味が存在するのでしょうか。
朱色の意義と起源
朱色は日本において伝統色として親しまれていますが、実はこの色は古代中国から伝わったものです。
古代中国では、朱色は権威と力の象徴とされ、名門の家の門を朱色で塗る特権が与えられていたのです。
従って、地位の高い人物が朱色の門を持つ屋敷に居住しており、学識深き人々も「朱輪」と呼ばれる派手な朱色の車に乗っていたと言われています。
このように中国で権力のシンボルとして用いられた朱色は、その思想と共に日本にも伝来し、神社を始めとした尊い場所で用いられるようになりました。
朱色のイメージとその由来
朱色は、古代中国において「高貴」や「権力」の象徴として認識されてきました。
さらに、暖色系に属する朱色は、その温もりから「暖かさ」を連想させる色でもあります。
朱色のもととなる原料は辰砂と呼ばれる天然の石であり、その毒性の強さから魔よけやお守りとしての意味合いも持っています。
これは、「毒をもって毒を制す」という考えに基づいています。
防腐剤としての機能も持つ辰砂は、木材の腐敗を防ぐためや、災害を避ける目的で神社の鳥居に使用されることが多いです。
朱色が持つ高貴な印象を重んじつつ、その実用性を重視して鳥居などに用いられてきたわけです。
さらに、朱色を含む赤い色調は、全世界の国旗に最も頻繁に採用される色の一つです。
朱色などの暖色は交感神経に作用し、人々の士気を鼓舞する機能があるとされています。
このため、力強さやエネルギーの象徴として、朱色は多方面で活用されてきたのです。
まとめ
朱色は権力の象徴として知られている一方で、その防腐性や魔除けとしての毒性を利用した実用的な側面も持ち合わせています。
しかしながら、朱色の毒性が理由で現代では使用が規制されるようになり、古代に用いられた真の朱色を入手することは困難になっています。
学校で使用する絵の具などは安全規制を受け、無害な材料が使用されていますので心配は不要です。
とはいえ、専門の画材店で販売されている絵の具の中には今でも本朱や硫化水銀を含む製品があります。
これらの商品は、その毒性を包装に明記していますから、購入の際にはその表示を確認し、特に子供が触れないよう注意して取り扱ってください。
神秘的なシーン、例えば神社の鳥居を描く際には朱色が活躍します。
あなたの理想とする色合いで自分だけの朱色を調合してみるのも面白いでしょう。