「紅樺（べにかば）赤みを帯びた茶色」のご紹介

紅樺（べにかば）は、日本の伝統色のひとつで、深みのある落ち着いた赤茶色を指します。

樺の木の赤みを帯びた樹皮のような、温かみと自然の風合いを感じる色として古くから親しまれてきました。

本記事では、紅樺の色の特徴、近い色との違い、配色のポイントなどをわかりやすく紹介します。

紅樺とはどんな色？
1. 紅樺の色コード（目安）
紅樺のイメージ・印象
似ている色との比較
紅樺の使われ方
紅樺と相性の良い配色
記事のまとめ

紅樺とはどんな色？

紅樺は、赤みを帯びた茶色です。

赤と茶色が絶妙に混ざり合った深みのあるカラーで、日本の自然や四季の移ろいを感じさせる温かみのある色合いです。

その色合いは、春の芽吹き、夏の日差し、秋の紅葉、冬の木肌といった日本の風土ならではの景観を連想させ、見る人にどこか懐かしさと安心感を与えます。

特に樺の木の赤みがかった樹皮の色から名付けられており、木材や土、和紙、漆などの天然素材と非常に相性が良いことから、古くから暮らしの中で広く使われてきた歴史があります。

建築や工芸、染織などの伝統分野では、紅樺の持つ落ち着きと上品さが重宝され、品格を引き立てる色として高く評価されてきました。

さらに現代では、和モダンデザインや自然素材を活かしたインテリア、アパレル、Web デザインなど幅広く活用され、空間やプロダクトに温かみと深みを加える色として人気が高まっています。

また、照明や環境によって赤みが強く見えたり、茶色寄りに映ったりと、微妙な色の変化が楽しめるのも特徴で、昼と夜、自然光と室内光などで異なる表情を見せる点も、紅樺の魅力をさらに引き立てています。

紅樺の色コード（目安）

表記	数値	説明
HEX	#8E4B3A	やや深みのある赤褐色で、紅樺らしい落ち着きを表現する数値
RGB	R 142 / G 75 / B 58	赤が強く、緑と青を抑えた配合。自然な木肌のような柔らかな印象を再現
CMYK	C 0 / M 35 / Y 45 / K 44	印刷で安定しやすく、赤茶の風合いをしっかり伝えるバランス

これらの数値は、紅樺の色味を理解する際の大まかな目安となるものです。

紅樺は日本の伝統色であるため、時代背景や使用される資料、ブランドや制作環境によって色味に微妙な違いが生まれることがあります。

たとえば、和紙や布地など素材の質感によって発色が変わる場合もあり、実際の見え方は光の当たり方や環境によってさらに印象が変化します。

印刷物・Web デザイン・工芸品など使用シーンによって最適な色の再現方法が異なるため、必要に応じて調整しながら活用することが大切です。

紅樺のイメージ・印象

温かみがある … 赤みを含むため柔らかい印象に。さらに、自然光の下ではより優しい赤茶として見えることが多く、空間をあたたかく包み込む効果があります。人の肌色とも調和しやすく、和室や木材を多用する空間では特に心地よさを引き立てます。
渋さ・落ち着き … 茶色が入ることで大人っぽい雰囲気に。若々しい赤ではなく、深みを持つ赤茶のため、上品で落ち着いた印象が長く続きます。茶道具や伝統工芸に多く採用される理由も、この渋みと上質さが安定して表現できる点にあります。また、時間とともに味わいが増す色としても親しまれています。
自然・和のテイスト … 木・土・和紙などとの相性が抜群。紅樺は自然素材と組み合わせることで、より豊かな調和が生まれます。たとえば木目との組み合わせでは温もりが際立ち、和紙や土壁の穏やかな風合いとは自然なグラデーションをつくります。和の空間演出はもちろん、和モダンインテリアや自然派デザインでも高い効果を発揮する色です。

似ている色との比較

色名	特徴	紅樺との違い
代赭たいしゃ	土のような黄みの強い赤茶。古代の顔料として使われ、暖かく素朴な雰囲気を持つ色。	紅樺のほうがより赤みが強く、深みとシックさを感じさせる大人っぽい印象になる。代赭は黄みが強いため、紅樺と比べると軽やかでナチュラルな雰囲気。
檜皮色ひわだいろ	神社の屋根材としても使われる檜皮のような落ち着いた茶色。柔らかく穏やかな木肌の印象が強い。	檜皮色はより茶色寄りで落ち着いた印象だが、紅樺は赤みが強いため存在感があり、温かさと深みが際立つ。和の配色でも紅樺のほうが華やかさを加えやすい。
鳶色とびいろ	鳶の羽のように黒みがかった渋い茶色。力強さと硬質な雰囲気を持つ伝統色。	鳶色は暗く重厚な印象だが、紅樺は明るさと赤みを帯びているため柔らかく温かい雰囲気を演出できる。視覚的にも紅樺のほうが軽やかで親しみやすい色味となる。

紅樺の使われ方

和のインテリアに

木目との相性が非常に良く、フローリング、家具、障子枠などに採用されることが多い色です。

紅樺の持つ深みのある赤茶色は、木材の自然な風合いを引き立てるため、和室はもちろん、現代的な和モダンインテリアにも非常に人気があります。

また、照明との組み合わせによって空間に温かみを持たせることができ、落ち着いた雰囲気づくりにも効果的です。

さらに、アクセントウォールや木製雑貨、建具などに用いることで、空間に豊かな奥行きをプラスすることができます。

ファッションでの紅樺

秋冬のコーディネートに取り入れると落ち着いた季節感を演出できます。

紅樺の赤茶は、アウター・ニット・スカートなど、さまざまなアイテムと相性がよく、ブラウンやベージュと合わせると柔らかく上品な印象に。

ブラックと組み合わせればシックで大人っぽく、藍色と合わせれば和の空気感が漂うスタイルが完成します。

また、バッグやシューズなど小物に取り入れるだけでも、コーディネートに深みを与えるアクセントになります。

男女問わず使える落ち着いた色味として、年齢を問わず人気の高いカラーです。

Web・デザインシーンでも活躍

深みのあるアクセントカラーとして、背景やテキストなどにも使われます。

特に紅樺の赤茶色は、温かみを演出したいサイトやブランド、和をモチーフにしたデザインで重宝されます。

背景に使用すると全体を柔らかくまとめ、ボタンや見出しに使うと視線を引く効果があります。

また、生成りや墨色との配色はWebデザインでも調和がよく、自然で落ち着いたトーンのUIを作りやすいのも特徴です。

紙媒体のデザインでも、ロゴやタイトルカラーとして使用するとクラシックで上質な印象を与えることができます。

紅樺と相性の良い配色

組み合わせ色	特徴
生成りきなり	柔らかいナチュラル配色で万能。紅樺の温かみを損なわず、自然体で優しい雰囲気をつくり、インテリア・ファッションどちらにも使いやすい組み合わせ。素材感を際立てたいときにも最適。
墨色	シックで大人の印象にまとまる。紅樺の赤みをほどよく引き締め、空間やデザインに重厚感を与える。モダンな和風テイストにも相性が良く、コントラストが美しい。
藍色	和の世界観が強調され、落ち着いた対比が生まれる。日本の伝統色同士の組み合わせで、深みのある品格を演出できる。季節問わず使える色合わせとしても便利。
灰白色	近代的で上品な雰囲気に。紅樺の赤茶を清潔感のあるニュートラルトーンが引き立て、洗練された淡いモダンスタイルに仕上がる。Webデザインや北欧風インテリアにも活用しやすい。