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絵の具でマゼンタ色をどう作る?絵の具と光での大きなちがい

明るくて存在感のあるこの色は、インクカートリッジなどで見る機会も多いでしょう。

特にアートの世界で絵の具としての利用を考える方も多いかもしれません。

しかし意外にも、インクではおなじみのマゼンタが、水彩絵の具においてはあまり見かけない色だということに気づく人も少なくありません。

小学校の図画工作の時間に親しんだ水彩絵の具のパレットには、なぜかマゼンタが含まれていないことが多いのです。

そこで本稿では、そんなマゼンタ色を自ら作る方法はあるのか、またそもそもマゼンタが指す色彩とは具体的にどのようなものなのかについて、詳しく解説していきます。

マゼンタの作り方について

マゼンタ色を作る方法は存在するのでしょうか。

この疑問には、次の二つの側面から説明することができます。

  • 絵の具を使用した作り方
  • 光を利用した作り方

絵具では作成不可能なマゼンタ

絵具を使用して色を作り出す際に、マゼンタは絵の具で作ることができません。

実はマゼンタは色の三原色の1つであるため、他の色を混ぜて作ることは不可能です。

三原色とは、他のあらゆる色の基となるもので、理論上はこれらを組み合わせることで全ての色を再現することができます。

しかし、その三原色自体であるマゼンタ、シアン、イエローそのものは、作り出すことができないのです。

光によるマゼンタ色の生成

実は、光を使用することでマゼンタ色を作り出すことが可能です。

青と赤の光を合わせることでマゼンタ色が形成されます。

では、光を使えばマゼンタ色が生成できるのに、なぜ絵の具ではその色を生み出せないのでしょうか。

この疑問に答えるためには、光と絵の具とでは色の混合の原理が異なるという点を理解する必要があります。

光は、色同士が混ざるほどに明るく鮮やかな色へと変化し、これを加法混色と呼びます。

この特性により、色を混ぜ合わせるほど、光は白色に近づいていきます。

対照的に、絵の具では混ぜ合わせるほど暗く濃い色へと変わり、理論的には黒に到達するという性質を持っています。こちらは減法混色と称されています。

マゼンタのような明るく鮮やかな色は、絵の具で他の色を混合しても、その鮮やかさや明るさを保ちにくいのです。

混ぜるほどにその特性を損なってしまうため、絵の具では物理的にマゼンタ色を作成することは困難です。

マゼンタ色に近づける方法

マゼンタ色を具現化するのは、絵の具では難しいと知っている方もいるでしょう。

しかし、近似色でも構わないと思われる方に向けて、マゼンタに近い色の調合法をお伝えします。

マゼンタは赤に微細な青みが混ざった赤紫色です。

ピンク、赤、青の絵の具を適切に混ぜ合わせることで似通った色が作れます。

適正な配合比は、ピンクと赤を5対1、更に青1を加えるというものです。

そもそもマゼンタは、ある程度の青みを帯びた赤系の色になります。

ピンクに赤を加え、そして微量の青を混入することでマゼンタ風の色合いを試みることができますが、混色によって必然的に色の鮮やかさが落ちてしまいます。

具体的にマゼンタを混色に取り入れたい場合は、色の三原色を含んだ絵の具セットが商業的に供給されていますが、こちらは水彩顔料ではなく、ポスターカラーが一般的です。

混色以外の手段として、「同化現象」を活用することで似た色合いを実現することも可能です。

例えば、ミカンが赤い網に包まれていると、より美味しく感じられることはありませんか?

これは黄色のミカンが赤い網で覆われることで、赤っぽい色(オレンジ色)に見え、一層鮮やかな印象を与えます。

この現象は周囲の色に影響されて、その色が変わって見える現象です。

同じ理論に基づき、ピンクや赤のそばに青色を配置することで、周囲の青によって赤やピンクが青みがかって見える効果を期待できます。

マゼンタとはどのような色か

さて、多くの人が耳にするものの、その色彩を明確に説明するのが意外と難しいマゼンタですが、一体どのような色を指すのでしょうか。

一般的に目にする機会が多いのは、プリント機器のカートリッジではないでしょうか。

名前には聞き覚えがありながら、具体的な色調を問われると、「赤い色合いだが何かが違う」という感じで思い浮かべる方も少なくないのではないでしょうか。

マゼンタは赤色の範疇にあるのは事実なのですが、詳細に言及すると「鮮やかな赤紫」とか「赤みを帯びた濃いピンク」といった表現が適していることが多いでしょう。

また、フーシャピンクとも称されることがあり、これはフクシアという花の発色が由来となっているのです。この色は非常に鮮明なため、アクセントとして使用すると際立つ特徴があります。

特にネイルアートなどのファッション分野で活用されることも多く、その人気は確かなものがあります。

ただし、これとは裏腹に、マゼンタは時に「不快である」とか「嫌われる色」として挙げられることも少なくありません。

マゼンタが持つ極めて鮮明で目を引く性質が、好意的に捉えられる一方で、過度に際立つと感じてしまい不快に思う方もいらっしゃるためです。

マゼンタとピンクの違い

マゼンタとピンクの違いは、その色合いの青味と薄さにあります。

マゼンタは、青色が強調された鮮明な色味が特徴です。

それに対してピンクは、白色が多く混ざることで青味が抑えられ、薄く温かな印象を与える色です。

ただし、ショッキングピンクやローズピンクのように、ピンク色の中にも青味や鮮やかさが強いバリエーションもあり、これらは一見しただけではマゼンタと区別するのが難しいこともあります。

また、一方で、イチゴミルクを連想させるような愛らしいピンクや、オレンジがかかったサーモンピンク、青みがかったローズピンクなど、ピンク色には多彩な種類が存在しています。

マゼンタと似た色合いのピンクであるローズピンクとの主な違いは、ローズピンクの方が赤みが際立っている点にあります。

ピンク色ではありませんが、マゼンタに類似している別の色としてワインレッドが挙げられますが、この色はマゼンタに比べてより暗く濃い色味をしています。

結論として、マゼンタはワインレッドよりも、鮮やかで明るい色合いの持ち主なのです。

マゼンタの色作りについてのまとめ

プリンターのインクとして親しまれているマゼンタ色ですが、絵の具としてこの色を製造することは理論上難しいとされています。

しかし、類似の色合いは製作が可能です。

とはいえ、マゼンタのような鮮やかさを求める場合、色を混ぜ合わせる際に使用する色の種類を最小限に抑え、水を用いて濃淡を調整するなどの工夫が求められます。

マゼンタは非常に鮮明で、見る人の目を引く特性を持っているため、完全な再現は難しいです。

マゼンタの絵の具を手に入れることが困難な場合は、マゼンタに近似した色調を作り出したり、同化作用を活用するなど、さまざまな方法で挑戦してみましょう。

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