絵を描くとき、ベージュ色を自分で作る人は珍しいと感じることがあります。
多くの場合、ファッションやメイクに用いられる色として認識されています。その肌馴染みの良さが、控えめながらも洗練された印象を与える魅力につながっています。
しかし、学校で使用する絵の具セットにベージュ色はほとんど含まれていません。
そこで今回は、基本的な絵の具セットでベージュ色を作り出す方法をご説明します。
また、私がカラーコーディネーターの資格を持っているということもあり、ベージュに関する興味深い情報もお話しします。
ベージュの作り方
ベージュ色を作るには、複数の配合方法があります。
- 白色に黄色、黒色、そして赤色を加える
- 白色にオレンジと黒色を加える
- 白色に茶色を加える
ご自身にとって作りやすい方法を選んで、ベージュ色を作ってみてください。それでは、各方法について詳しく見ていきましょう。
白色に黄色、黒色、そして赤色を加える
ベージュは、白色と黄色、黒色と赤色の4色を絶妙に配合することで作り出すことができます。
まず、黄色、黒、赤を混ぜ合わせることで茶色が生まれます。
そしてベージュは、茶色よりも明るく薄い色味が特徴です。
このため、茶色を明るくし、薄めたいときには白色を加えます。
白色は光をよく反射する性質があるため、配合することで色の明度を高め、視覚的に明るい印象を与える効果があります。
また、無彩色である白を用いることで、色味をぼかし薄めることも可能になります。
例えば、白3に対して黄色が1、黒が0.1、赤が0.2の割合で調合します。
白色にオレンジと黒色を加える
ベージュ色は、白、オレンジ、黒を使っても調合することが可能です。
始めにオレンジに黒色を加え、茶色を作り出します。
その後、白を加えて明るさを増し、ベージュ色に近づけていきます。
黒色は強い着色力を持っているため、わずかな量でも色の変化が顕著に現れます。
従って、黒を混ぜる場合は慎重に微量ずつ加えていくのがポイントです。
例としては、白4：オレンジ1：黒0.1の割合で混色し、ベージュを作成しています。
白色に茶色を加える
茶色の絵の具があるならば、白と茶色を混ぜ合わせるのがベージュ色を手早く作る最善の方法です。
推奨される配合比率は、白に対して茶色を4:1の割合で混ぜることです。
望む色に近づけるためには、少量の黒を加えて調整することも効果的です。
実際に「原色大辞典」では、ベージュは「明るく灰色がかった黄色系の色」と定義されています。
そのため、微妙な灰色のニュアンスを加えるには、わずかに灰色や黒色（白と黒を混ぜることで灰色を作ることができるため）を混入するとよいでしょう。(原色大辞典)
色を混ぜ合わせる際には、元々明るく薄い色調に対して、濃い色を加えていく方が理想的です。
明るい色を暗くすることは比較的容易ですが、暗い色調を明るくするのは困難です。
これは絵の具が減法混色の原理により働くためで、色を混ぜれば混ぜるほど光の反射が減り、結果として色が濁って暗くなりがちだからです。
従って、混色によって明るさを出すことは、一般的には難易度の高い作業と言えます。
ベージュに近い色の作り方
これまでに様々なベージュの色合いの作り方についてご紹介してきました。
それでは、次にベージュに近い色を作る方法を見ていきましょう。
サーモンピンクの調合法
まずは、サーモンピンクについてです。
ベージュとピンクの中間に位置するような色味で、肌馴染みが良く、ピンクが少々幼いと感じられたり、ベージュが成熟した印象を与えすぎるという際に大変便利です。
サーモンピンクは、ネイルやチークとしても支持を集める人気のカラーです。
このサーモンピンクは、ベースとなるピンクにオレンジ色を加えて作り出します。
手持ちにオレンジがない場合は、朱色を使用しても問題ありません。色合いを少しずつ調整しながら混ぜ合わせていってください。
サーモンピンクはベージュ寄りのカラーであるため、ベージュとも非常に相性が良いです。
両色を隣り合わせで配置しても違和感なく馴染むため、上手に配色することができます。
ペールオレンジの作り方
ここでは、ベージュに類似した色合いであるペールオレンジの調合方法をご紹介します。
「ペール」という言葉には「薄い」という意味が含まれております。
従って、ペールオレンジは「薄いオレンジ色」と理解することができます。
オレンジ色の鮮やかさを控えめにし、優しい色味を出すために白色を加えるのが一般的です。
白色は色彩を持たないため、明るさは持っていても鮮やかさはありません。
そのため、他の色との混合によって色味が淡くなる効果があります。
ベージュ色の作り方とその応用
ベージュ色の生成方法について解説しましたが、自分の好みに合わせた微調整を行う場合は、3色や4色を使って配合比を変更するとより理想的なベージュが作れます。
色合わせに苦手意識がある場合は、よりシンプルな配合法を試してみてください。
ベージュ色は、明るい雰囲気を演出しつつ、純白ではない柔らかい印象を与える色です。
黄色や赤を含むことから暖色系の色彩とも相性が良く、絵画やネイルアートなどの創作活動に非常によく馴染みます。
様々なシーンでの表現に役立つベージュ色を、ご自身の感覚で調合し、創造的な作品作りに役立ててみてください。
